姜星海「中国人の学歴社会観に関する研究」
『広島大学教育学部紀要 第三部(教育人間科学関連領域)』第49号、2000年 pp.109−117

本論文は、中国人の親の学歴社会観を明らかにすることを目的としている。分析で用いるデータは、筆者が1999年に北京で2つの中学校の親に行った「学歴意識に関する調査」結果である。主成分分析結果、中国人の親の学歴社会に関する認知構造は、「就職の学歴決定論」、「学歴の出自決定論」、「教育機会平等論」、「昇進の学校歴決定論」の4つの側面からとらえることができる。中国人の親の大多数は「教育機会平等論」と「就職の学歴決定論」を支持しているが、「学歴の出自決定論」と「昇進の学校歴決定論」を支持しない。学歴社会の認知構造は、本人の学歴と職業とはあまり関連がみられないことから、「教育機会平等論」と「就職の学歴決定論」は中国都市部におけるコンセンサスであると思われる。(筆者より)